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「大丈夫か」  優しい声が耳元で囁いた。おずおずと目を開くと、もう辺りは元の暗がりに戻っていた。トラックも見当たらない。  大きなぼたん雪が、後から後から降ってくるばかりだ。 「おい、聞いてるのか」  懐かしく、温かい声。熱い涙がこぼれた。 「兄貴、……ごめん……、ごめん……俺……!」  要司より、ずっと若々しい宗和が、要司の肩を抱きながら、解っている、という風に頷く。  あの頃と何ひとつ変わらない、優しい笑みを浮かべながら。 「俺、頑張った。……一生懸命、生きたよ」  宗和が再び、しっかりと頷いた。 「見てたよ、ずっと。おまえのこと」  確かな声で告げられた言葉に、再び熱い涙が転がり落ちる。  要司にはもうそれ以上、何ひとつ望むことなどなかった。
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