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「……陽名は、キリンさんが好きか」  要司が陽名の頬にそっと触れると、柔らかく、優しいぬくもりが、かさついた指の先に伝わってくる。  陽名はコクンと勢いよく頷いた。その稚い仕草に、要司は思わず目を細めた。 「じゃあ、今度じいじといっしょに動物園に行くか」 「ウンッ」  陽名は、ぱああっと顔を輝かせた。  その後ろで美津子と裕美が驚いたように目を見張り、それからうっすらと涙ぐむ。  要司は陽名の頭を撫でながら、窓の方を見た。雪はまだ降り続いているのだろうか。  兄に触れた感触は、今も切なく指先に残っている。  そっと目を閉じると、後から後から舞い落ちてくる、真っ白な雪が鮮やかに浮かんだ。
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