全盛

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池田屋事件の直後、一仕事を終えた新撰組は、この事件の報告のため、会津藩主・京都守護職である松平容保公に謁見するため集まっていた。 表通りには隊士たちが集まり、 一つ裏道に入った所で近藤、土方、山崎の3人が話していた。 「帰りは三条大橋を通る。」 土方がそう言うと 「それでは遠回りだろう。」 すかさず近藤が異を唱える。確かに近藤が言う通りだ。 すると土方は 「大した道のりじゃない。」 と反論する。 二人の会話を横で聞いていた山崎は思った。 「しかし、あそこはこの時分人通りが多いですよ。」 すると土方は 「だから通るんだ。」 それを聞いた近藤と山崎は、 この思慮深い男には明確な意図があるのだと理解し、もう何も言わなかった。 そこに隊士たちの様子を見ていた井上が 「皆、道に揃いました。」 と報告に来た。 すると土方は近藤に 「局長!」 と喝を入れるかのように声をかけた。 それを合図にしたかのように近藤は言った。 「いざ!」 山崎が言った通り、三条小橋方面は交通量が多かった。 京の街中を同じ装束に身を包んだ集団が歩いているのはなんとも異様な雰囲気だった。 道ゆく人は立ち止まり、そんな異様な光景を見つめていた。 「しっかり掲げろ。それじゃ”誠”の字が見えねぇだろうが。」 土方は、前を歩く新撰組の旗持ち・尾関雅次郎が旗を掲げていないのを見て言った。 それを受けた尾関は、 「はいっ!」 高々と隊旗を掲げた。
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