始まり

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10年前 1854年(嘉永7年) 1月24日 ”江戸” そこは1601年徳川家康によって開かれた”江戸幕府”が置かれ、 それ以来日本の政治の中心として発展を遂げて来た。 街には活気があふれ、娯楽、流行、食、全てにおいて発達していた。 そんな江戸にある茶屋では、島崎勝太(後の近藤勇)と美しい女が話をしていました。 「いやぁ、この度の一件は、誠に申し訳ありませんでした!」 と頭を下げる近藤の詫びの言葉を無表情で受ける女。 近藤は構わず女の目をまっすぐに見て続ける。 「本人は夫婦の契りを結んだ覚えは無いと言っています。 しかし、あなたに思い違いをさせてしまったのは事実。言い逃れはできません。」 ここまできいてもなお、心ここに在らずといった態度の女を見て、 「あいつはいっつもそうなんですよ。 そうやって思わせぶりな態度を取るからこんなことに…」 そこまで言うと、女が口を開いた。 「あの、トシさんはなぜ自分で来ないのですか?」 近藤は答えられなかった。 すると女は続ける。 「卑怯よ…」 橋の上では土方が近藤を待っていた。 そんな土方の横をスラリと背の高い美人が通り過ぎたのを 江戸前プレーボーイこと土方は見逃さなかった。 土方は持っていたサイコロを美人に向かって投げた。 後ろからサイコロが当たった女は振り返る。 すると不敵な笑みを浮かべた土方がいた。 彼はすらりと高い背と整った顔立ちの男 でも惚れ惚れするようないわゆる美男子だ。
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