全盛

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近藤を除く3人が浪士たちが集会をしていた部屋に入って来た。 中にいた浪士の一人が敵意を剥き出しに 入って来た沖田、永倉、藤堂の3人に剣を向ける。 「くそっ幕府の犬め!!!」 刀を振りかざし、目の前にいた沖田に斬りかかろうとするも、 光のような速さで沖田が浪士に向かい剣を振り下ろす。  ブシュ 「……?」 一瞬の出来事で何が起きているのかを把握するのに時間がかかった。 「うわぁぁぁぁ!」 沖田が浪士の腕を切り落として 足元にはその若者の腕が剣を握ったまま転がっていた。 後ろでその一部始終を目撃していた浪士たちは 聞いていた新撰組の強さを目の当たりにし言葉を発することすら出来ずにいた。 中にいる浪士たちは少なくとも10人以上。 対して最初に池田屋に切り込んだのは近藤含めて五人。 「数ではこちらが有利じゃ!引くな!討て!」 「うおぉぉぉぉ!」 キィン!  ブシュッ 「ガハッ」 浪士たちがバタバタと倒れて行く。 「おのれ!」 ガッ 「…ック」 あんなに数のいた浪士たちもあっという間に動かなくなっていた。 「ふぅ」 藤堂が鉢金を外した瞬間永倉が叫んだ、 「藤堂!後ろ!」 藤堂が後ろを見た一瞬、浪士が槍を構えているのが見えた。 「おらぁ!!」 藤堂の額に浪士の槍が刺さるか刺さらないかの間際、永倉が刀で槍を上に弾いた。 ブシュ 「!!」 藤堂が額から血を流して倒れた。 「平助!!」 一足遅れてその場に来た沖田は、藤堂を見て駆け寄った。 「沖田くん…すみません。頭なので…大げさに見えますけど 副長が来る…まで浪士たちを…逃さないで…下さい」 「沖田!恐らく藤堂は、額からの出血が多い。これ以上の戦闘は無理だ。」 「分かりました。永倉さん平助を頼みます。私が先に進むので。 あなたもその手では剣を握ることができないでしょう。」 沖田はそういって奥へ行ってしまった 「…!」 そう、実は永倉も先ほどの戦闘で親指の付け根を切られていた。 刀を握るのは無理だろう。 (しかし沖田は自らが戦っている間も人を見る余裕があるのか… 恐ろしいな、あれが天才…か) 一人沖田は近藤のいるであろう場所に向かっていた。 すると、 「ケホッ…!!ゲホッケッホゴッホゴホゴホ…出ちゃったか。」 急に咳き込み口元を抑えた彼の右手には赤い水溜りが出来ていた。
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