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近藤はある部屋の前に着くと、勢いよく襖を開けた。
すると中で床の間の前で座っている幾松がいた
「これはこれは、近藤先生。」
近藤の中で幾松は
上品な京言葉で喋る肝の据わった女というイメージだ。
近藤は確信を持って幾松に訪ねた
「…桂さんは?」
すると幾松は
「桂はんどすか?
…さぁ。近頃たんとお姿みかけしまへんなぁ」
そう言った幾松が
ふと床の間に目線をやると、桂の袴がスルスルと中に入っていくのが見えた。
内心ヒヤッとしたが、近藤は気づいていない様だ。
近藤はどうしても彼女の言葉を素直に受け取ることができなかった。
すると彼女が座っている床の間の前の畳が濡れている事に気付いた。
幾松をみるが、彼女は何も気にしない様子で倒れていたであろう花瓶を元に戻している。
訝しげに近藤が中の様子を探ろうとすると、
「うりゃぁ!!」
後ろから来た浪士が近藤めがけて刀を振りかぶって突進して来た。
キィン
近藤はそれに応戦した。
「…」
そんな様子を動揺もせずに見ていた幾松は、
床の間の奥にいる桂に合図を送り、
桂は床の間の奥から繋がっている通路を抜けて池田屋から脱出した。
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