*神谷麻子の都合*

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私、神谷麻子は、今、彼氏はいません。 二か月前のクリスマスイブの前日、一年半付き合った恋人の祐樹と別れたばかりです。 それも突然に… これだけ情報に溢れた時代に祐樹と連絡が取れない日々を、私はあまり深く考えないように過ごしていた。 LINEの返信もできないほど忙しいんだとか、明日には必ず連絡をくれるはずだとか、積極的ではない私の性格はただそう信じて待つだけだった。 「麻子… ごめんな… 他に好きな人ができた…」 久しぶりにLINEじゃなく電話が入った。 祐樹の声は淡々と感情の起伏もなく、私の耳元にそう告げた。 え? うそ? 何で…? 私の全ての疑問は闇の中へ消えていく。 12月23日の夜、祐樹の存在は完全に過去のものになった。 あまりに突然に私の元からいなくなった祐樹。 この二か月間、一人取り残された私は色々な事をたくさん考えた。 たくさん考えるけれど何も分からない。 そもそも祐樹と私は本当に別れたのかな?なんて、そんなバカみたいな事を考えたりもして。
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