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「ねえ……ねえ、ったら!」
耳をぎゅっと引っ張られる感覚に、思わず跳ね起きる。
「えっ、何!?」
きょろきょろと見渡すと、さっきいた教室ではなくて、
見慣れた青いカーテンの部屋。
僕と彼女の寝室。
「もう!いつまで寝てるのよ!」
怒り顔の彼女が僕の顔を覗き込む。
そういえば今日は本屋に連れていくなんて約束したんだっけ。
焦ってスマホを確認すると、もう11時。
「ごめん!」
手を合わせて謝る僕に、彼女はむすっとした表情のままだ。
「早く準備します!」
「…私、本読んで待ってるから」
そういうと彼女はカーテンと窓を開けて、春の日差しと風を部屋に入れる。
暖かで、柔らかい春。
窓際に座って本を開く彼女と、制服の彼女が被る。
ああ、気付けて良かったな。
なんてぼんやり考えていると、彼女から早く、とお叱りのグーパンチを頂いた。
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