僕のバレンタインデー

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 もう40歳近いのに、誰よりも綺麗な僕のママ。  ママとパパは大の仲良しだった。いつの頃からか、ママの愛を受けるパパがとてもうらやましくなった。  3年前、パパが病気で突然死んでしまった。  いままで明るかったママがウソのように暗くなってしまい、その年のバレンタインデーはスーパーで売っているハートチョコさえもらえなかった。  僕は少しでもママに元気になって欲しいと、ホワイトデーに、クッキーを手作りしてママに渡した。  出来栄えはイマイチだったのだが、 「うれしい、ありがとう……」と、ママは涙を浮かべて食べてくれた。  その次の年のバレンタインデー、ママからのチョコレートは、それまでパパがもらっていたような手作りのチョコレートに変わった。僕はたまらなくうれしくなって、思わずママにキスをしてしまった。それをママは受け入れてくれた。  ママはきっと、僕にパパの面影を重ねてるんだと思う。今は口づけを重ねて恋人のような時間を過ごしてるけど、それはママの傷を少しでも癒すための儀式。  けれど、ママを1人の女性として意識している自分がいる。キス以上のことはしていないし、これからもしないつもりだ。どれだけ恋しても、ママだから。一番好きな人を苦しめちゃダメだから。  なのに、心は激しく揺らいでいる。だから僕は、この日が嫌いだ。
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