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hereinbefore (1)
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川縁のぬかるんだ泥は、馬の蹄に重く。
いくさ場の光景は、時の流れる速さすら、長く引き伸ばしているように見えた。
まつろわぬ民、国ざかいの川辺に住まう部族スードリアントは、いまだに、ふと思いついたかのように武器を取り王に盾突くことがあったが、昨今の行状は、とみに悪しきものだった。
おそらくは。
現王を……「舐めて」かかっているのであろう。
白斑流星の黒馬を駆る近衛の長、歴戦の騎士シグルドの脳裏を、そんな考えがよぎる。
スードリアント鎮圧のための兵を率いる将は、王子アルトナルだった。
国王の長子、凛々しく逞しい若者であるアルトナルは、怜悧な頭脳、機智と慈悲ある人柄で、その年齢にして、民や臣から絶大なる信頼を得ていた。
そして、その姿かたちの美しさ。
まさに「非の打ち所のない」後継者の存在は、凡庸な現王への薄寒いような危惧を打ち払ってしまうほどの輝きで国を照らしていた。
だからこそ、このようなスードリアントの暴動などは、真の国難には値しないと。
臣会の高官たちも、実のところ今回の蜂起については、さほど深刻に悩んではいなかった。
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