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――「昔のように」
なるほど、それはまさに、遠い遠い昔のことだった。
けれどもシグルドには、すぐ、その意味が分かった。
アルトナルもシグルドも、まだ幼く。
シグルドが兄、アルトナルが弟。
そんな風に乳兄弟として共に過ごすことができていた、はるか昔。
その頃のことを指しているのだと。
シグルドの母親は、王子の乳母であった。
王妃ヘルカを早くに亡くしたがゆえ、アルトナルとシグルド、そしてその母との絆は深かった。
悪戯盛り。
アルトナルとシグルドが無邪気に遊び回れば、どうあれ責めは、すべてシグルドの負うところとなる。
そんなシグルドを「仕置き」から逃れさせるため、王子はしばしば、自室にかくまった。
無論シグルドが、表から堂々と王子の部屋に向かえば、すぐさま誰かに見とがめられる。
「かくまわれる」どころではなかった。
だから、密かに王子の部屋へと入るための「抜け道」を、幼いふたりは作り上げていた。
「昔のように」部屋に来いというのは。すなわち――
「その方法」で来るように。
王子が言わんとするのは、そういうことだと。シグルドも、すぐさま察し取った。
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