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まつろわぬ川辺の民スードリアント。
その蜂起を、ごく短期間に鎮圧した王子。
その御名を称える声は、民の間で、さらに強く高まった。
神々に愛された王子、いとも気高きアルトナルと。
みなが口々に謡い称える。
そして望まれるのは、その世継ぎであり。
婚姻であった。
臣会では、折に触れ、高官たちが王子に水を向ける。
初めのうちこそ、さりげない風を装っての問いかけだった。
だが次第次第に、王子アルトナルの婚姻について、会で明確な言及がなされるようになっていく。
父王は、一貫して穏やかだった。
臣会一同から、強く意見を求められてもなお、
「そう急がずとも。アルトナルにも考えがあろうから」と繰り返す。
それが、もとからの気質によるものか、加齢による気迫の減退なのか。
息子であるアルトナルの目から見ても定かではなかった。
「いにしえより国の礎として、政を支えし臣会。その賢老たちよ」
アルトナルの声が議場に響く。
けっして、大声ではない。
けれども、その声は気高く深く、空気の色を変える。
「皆の考えは、我も十分に解している。臣会よ、我にしばしの猶予を与えよ。国のため必ず良い決断を下そう。我を信じ、今しばらく待たれよ」
静かに、だが確信に満ちたアルトナルの言葉は、神々への詠唱のようでもあり、神託そのものですらあるような神々しさで輝いていた。
臣会の出席者一同が、息を飲み、圧倒され、そして無条件の信頼と恭順の意を、アルトナルに捧げる。
――神々に愛されし黄金の瞳。いとも気高き王子アルトナルよ、と。
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