53人が本棚に入れています
本棚に追加
おそらくは、ラクナル王はじきに、息子に王位を譲り渡すに違いない。
アルトナル様も、そろそろ后を娶られてもよい頃合い。
御子も生まれよう。
そうなれば、つつがなく譲位が行われ。
新しい治世が到来するであろう……と。
なればこそ。
誰にも――
我は誰にも、臣会に登壇する臣下にさえ、この身体のことを知られるわけにはいかないのだ。
王子アルトナルの決意は、悲壮なまでに固かった。
何もかもが、自らの両肩にすべて託されているのだから……と。
そして、吾は后を娶らねばならない。
後継ぎを残さなければならない。
しかし、この身体では。
一体、どうすればいいというのだ――
最初のコメントを投稿しよう!