今夜の月は

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「なんですぐに俺に報告しねえんだよ」 「い、いや、帰りまでには、い、言おうと、思ってたぞ、うん」  俺は鎌田を羽交い絞めにした。  いや、恨みからではない。祝福の意味を込めてだ。 「やったな、おい」 「い、痛いって、おいこら」  痛いと言いながら、鎌田も笑っている。  鎌田が、一年の時から牧野を好きだって事は知っていた。  その牧野からの告白だ。受けないはずがない。 「羨ましいぞ、お前」 「わ、分かったから分かったから、ギブギブ」  良かったな。心からそう思えた。  こんなに嬉しそうな鎌田を見るのは、初めてな気がしたから。
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