第1章

12/119
前へ
/119ページ
次へ
 そんなに勇気ある私ではないにもかかわらず、 割と冷静に幽霊に面と向かっているのを、 不思議にさえ思った。 細かな特徴さえ列挙できる自分に、 喝采を送りたい気分だ。 百折不撓≪ひゃくせつふとう≫を、 私の信念にしているからだろうか? その意味は、 何度の失敗にもめげずくじけず挑戦することである。 ……幽霊なんて、 怖くはないぞ! といいたいが……。  だが、 強がらずに白状すると、 一刻も早くこの場から逃げだしたい! 恐ろしさで、 血液という血液が凍りついたような寒気に覆われて、 ブル、 ブル、 ブル、 ブル……と全身の震えが止まらないのだ。 だが、 彼は同じ場所におりこちらに移動してきて、 私に害を加える意図がないようなので、 少しだけ安心し日頃の冷静さを取り戻した。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加