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地縛霊である彼の立場に、
ある種の同情さえ湧きでてきた。
かなり強い執着が、
彼をそこに縛り付けているのだろう。
彼を追い払うのではなく、
むしろ成仏させる方が良いのじゃぁないだろうか? そう思ったので、
私は彼に向って両手を合わせ、
一心不乱に拝んだ。
もちろん、
詳しい念仏は知らないから、
南無阿弥陀仏≪なむあみだぶつ≫、
南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏……と繰り返し何度も唱えた。
何十分間後、
いや何分間後かに恐る恐る目を開けると、
彼は跡形もなく消滅していたのだ。
私は、
この経験から多くの「人生訓」を学ぶことができたような気がする。
時には「物事を相対的に見るのも必要だ」、
といえるのじゃあないだろうか? 「相手の立場に立ってみる」のも生きていく上での重要な要件だろう。
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