第1章

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 バックルームと売り場をふさいでいる鋼鉄製の扉が、 どういうわけか半分だけ開いている状態だ。 ビュウという大きな音を伴って、 生暖かい一陣の風が、 誘導灯だけ点いている薄暗い売り場から入ってきた。 その生暖かい風が、 肌にまとわりついてきて、 私をとても不快な気分にさせた。 (あれれ……おかしいなぁ。 扉は完全に開いているか、 閉まっているはずなのに……どうしたのだろう?)  ほんのわずかだけある霊感が、 おどろおどろしい存在を知らせ、 口ではとてもいい表せない嫌悪と恐怖を私に教えたのだ。 同時に、 負のエネルギーが、 周囲に渦を巻いているのを全身で感じた。
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