第1章

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杉の樹  私は、 植物界、 裸子植物門、 マツ綱、 マツ目、 ヒノキ科、 スギ属の杉である。  威風堂々として、 優れた才能が横溢≪おういつ≫した、 我ながら惚れ惚れする存在だ。  人間どもの驚嘆と畏怖≪いふ≫、 さらには信仰の対象とさえなっている。 単なるそこらに群生している、 ありふれた情けない存在を晒≪さら≫している杉ではない。 思考能力のみならず、 意思と優れた超能力を持つ特殊な存在だ。 この世に生を受けて以来、 約二千五百年経過しており、 ご神木と崇められる由緒正しい存在でもあるのだ。 弥生時代から現代まで、 様々な勉学と世間のできごとを観察してきた、 好奇心に溢れる老木でもある。
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