第1章

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 今後の活動には、 大いに期待しているところだ。    風の便りで聞く、 樹齢三千二百年以上の屋久島で栄えている縄文杉には、 正直負けてはいる。 多分、 私は、 この世に生を受けて、 二千五百年ぐらい経過しているだろう。  幼い頃、 他の樹木に光合成に不可欠な太陽エネルギーを奪われないよう、 闘争に明け暮れしていたのだ。 しかも、 我々、 杉は針葉樹で根を深く張らない。 そのために、 養分を周りの木々に取られないように必死で頑張った。 しかも、 背丈を伸ばすことに、 精一杯の努力を傾注したのだ。 年輪は、 自分で見ようにも見ることはできない。  多分、 百歳頃に自我と共に、 周りの生き残った同類を観察する余裕に目覚めた。 文字通りThe survival of the fittest(最適者生存)の優れた見本のようで、 誇らしくさえ思っている。
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