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明治から大正に掛けてに、記された記録である。
岡山の山間にある小さな集落にてーー。
今日は、その村にとって特別な日だった。
年に一度の、角切りの儀式が行われる日だ。
子供から大人に変わる儀式。現代で言う成人式のような、大人への通過儀式である。
彼らは若い。今の成人式より大分若い、当時の元服でも10代前半だが、彼らはせいぜい7、8歳である。だが、中には大分大人の者も居る?
その理由は、大人になるなら無いを決めるのが村の長だからだった。
長が良しと言わなくては、角を切る事は出来ない。
この村の民は、珍しい身体的特徴を持っていた。
成長と共に頭に角が生えるのだ。
角を切られた子供達は、皆ハツラツとした顔をし、一人前の大人と見られる事に誇らしさを感じ。これからの人生への希望に満ちていた。
だが、大人はそれを内心複雑な思いで見ていた。
それはどうしてか?
角を切らねばならない本当の理由……。
それは、大人への成長の儀式とはまた別の理由があったからだ。
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