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「ごめん、泣かせて」
「責任、取ってよ」
「喜んで。」
開けっぱなしの冷蔵庫から流れる冷気が
ハジメと私の真っ赤な耳朶を冷やす
「一緒に食べよう?」
ハジメの口に放り込まれたチョコレート。
こんな日は、来ないものだと思っていた。
「一緒に、って……私のは?」
見上げるとハジメに抱きしめられて
重なった、唇。
その微かな隙間から、甘い香り。
「……ん、っ」
こんなに、甘かったっけ?
二人の熱で溶け合うチョコレートの甘さに、夢中になる
こんなに幸せなバレンタイン、初めてだよ。
「ねえ、もっとちょうだい」
二人で味わうチョコレートは、ひとりで食べるよりもずっとずっと、甘いことを知った。
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