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そう気付くのが、遅すぎた。
リオは去年同じ部署に入った新入社員だった。
同じ部署と言っても、俺の部署は二人だけの小さなシマだ。
つまり、俺とリオしかいなかった。
そんなわけで、この十ヶ月手取り足取り懇切丁寧に仕事を教えてやった。
それなのに。
いや、そのせいか。
リオは俺にすぐになついた。
7歳しか年も違わないので、弟のように思っていたのだが、リオは違ったらしい。
初めから俺に目を付けていて、機会を窺っていたと、後から白状した。
その機会は、リオが思っていたよりも意外と早く来たという。
新人だから、ミスなんてざらだ。
リオもまた例外に漏れず、ある時客先に出す請求書の金額を間違えるポカをした。
すぐに後始末をしたのだが、既に相手が支払いを済ませてしまっていたこともあり、会社に損害が出た。
その損害を上司である俺とリオで7対3で補填することになった。
それが決まった夜だった。
ショックを受けたリオを励ますつもりで飲みに行って。
ベロンベロンに酔っ払ったリオが泣きじゃくってしょうがないので連れ帰って。
何を言っても聞かなかった。
「忘れろ」と言うしかなかった。
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