プロローグ〈20years later〉

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「はあ? 忘れたとでも?」 「いや、タマだ。」 「ヨージ、変わらんね。性格も、トゲも、見た目も」  タマは俺にワインのグラスを渡す。血のような赤。 「さっきのは委員長やった高橋くんやん。だいぶ太ったけど。頭もキテルけど」 「高橋は眼鏡やろ」  大阪弁が出ていた。使うのは何年ぶりだ? 「コンタクトにしたんやん。大学の時やからだいぶ前やわ。ヨージ、同窓会こうへんかった(来なかった)から知らんのやわ。大学の時はかっこよかってんで。ちょっとは」  タマだ。いつもシニカルに締める。 「おまえも変わらんな。見た目も性格も」  本当に笑えた。どのくらいぶりだ? こんな風に笑うのは。  タマとグラスを合わせて、俺は血の色のワインを飲みほす。そしてもう一度、店の中をぐるぐると眺めた。少しうつむき加減にその姿を探した。会えるはずはないか。
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