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ミコがクスクスと笑う。くっそー。
ミコがヨージに惚れてることくらいわかる。いつも視線の端でヨージを見ている。
多分、ヨージもミコに惚れてると思うけど、そこは声にださない。
なぜかはわからんが、とりま感謝だ。ヨージが声に出したら、ミコに告げたら俺は引くしかなくなるから。親友の彼女に手を出す最低人間になってしまう。
「ヨーイチヨージ、夏期講習何とるん?」
俺たちのうどんがのったでっかいテーブルの端に凭れるようにしてタマが言った。ミコに頼まれての偵察やな。クッソー。
「とりま、全部取る。」
ヨージがうどんをすすりながら言う。
「はあ?あんた国立理系やろ?予備校行かへんの?」
タマは本気で呆れている。
「予備校、金かかるやん。学校はただやで。」
ヨージはタマもミコも見ずにうどんを食い続ける。
ヨージはこんなだがなぜか頭がいい。生まれつきIQが高いのかもしれない。授業でもノートも取らずにボーっとしてるくせに、先生に当てられたら正解を答える。定期試験も常に学年上位。この間の模試も国立大Bランクだった。
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