どうやら世界中には僕らしかいない

3/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
ついに僕の周りのカロリーメートが無くなってしまった。体の真ん中の管からはもうあまり栄養が送られていないようだ。カプセルもだんだん居心地が悪くなってきた。そろそろカプセルの外に出る合図なのだろうか。ソイツの周りのカロリーメートには手を付けなかったのだが、カロリーメートはもうソイツの周りにしか無い。しかたないのでソイツの周りのカロリーメートを一口食べた。甘い。甘くて美味しい。なぜこんなにおいしいカロリーメートを食べないのか、それだけ健康状態が悪いのか。ソイツが急に苦しみ出した。カプセルを出よう。頭の方に出口がある。 「出口を開けろ!出口を開けろ!」 ドンドンドン、壁を手当たり次第にけりまくった。出口があいた。とりあえずソイツを外に押し出そう。僕は管が絡まない様に注意しながら、体を反転させソイツを足で出口の方に押し出した。10分もかからずソイツはカプセルの外に出た。 「ダメだ、ソイツを外に出すために体力を使いすぎた。もう力尽きた。」 自分がカプセルの外にでる元気はもう無かった。出口から何か冷たいものが入ってきた。出口から入ってきた冷たいものに足をはさまれて、僕はカプセルの外にひきずり出された。外に出て見たら僕とソイツ以外の人間が居た。満面の笑みを浮かべて。僕はここではじめて声を出した。 「おぎゃー。」 今日は特別な日だ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!