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いや、思いのみに留められず私はその思いを全身に醸し出しながら、スキップしながら鼻歌を口ずさんだ。
「今日は肉が食える、肉が食える、肉が食えるぞ~♪
カニバリズムぞ~、カニバリズムぞ~♪
(*>∇<)ノ」
因みに余談だが、カニバリズムとは食人行為、つまり人の肉を喰う行為の事であるが、実際に私が食すのは人間ではなく巨人である。
それは私流のユーモアだった。
確かに相手は怪物だが一応、見た目が人型なので人によっては、共食いに見えなくもあるまい。
だが、食も乏しき激戦区を生き抜いた私にとっては、そんなものは些細な事だった。
何せ私は巨大ムカデや、巨大クモ、或いは人間に近い魔人等々....そんなモノでも食わなきゃ餓死確定って環境に身を置いていたのだから、一目巨人の亡骸など高級肉にしか見えないのは当然だろう。
だが、そんな愛すべきご馳走と御対面~できる筈の瞬間、私の幸せを奪いに来た死神の如く、ウィンター女史が私の前に現れたのである。
「今晩はソード様。
(*^^*)」
「今晩はウィンター女史。
私に何かご用件でも?
(*>∇<)ノ」
内心では、空腹の余り飢えた狼の如くウィンター女史に敵意を向けていたが、私はその事を悟られぬように自然に振る舞う。
そして、そんな見事な私の演技により彼女は私の敵意に気付かないまま淡々と話し始めた。
「お食事にお誘いに上がりました。
食事をしながら、一緒にお食事でも如何ですか?
(^-^)」
「いえ、私はまだ調査を続けなければなりませんので、申し訳ないのですが御断りさせて頂きます。
ですが事件が解決した際には是非、ご一緒させて頂きます。
( ´,_ゝ`)」
私は紳士的に振る舞いながら、ウィンター女史のお誘いを丁重に御断りした。
食事にありつけるのに何故、私がお誘いを断ったのかといえば答えは至って単純。
死ぬ程、肉が食いたかったからである。
昔、上流階級な方々と食事をした事があったが食事は確かに工夫の一品ではあるものの、量も少なく物足りないモノであった。
故に今の飢えたる私の胃袋にとって、上流階級の食事などパンの耳にすら劣るものだったのである。
だが、私が食事を断った直後、ウィンター女史はそんな状況を見越していたかのように私に問いかけてくる。
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