如意先生襲名【前編】

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それは正に、逆転の発想というべきものだったのである。 私は、その奇跡とでもいうべき発想に身を任せ迷う事なく、それを実行した。 「マドモアゼル、貴女の仰有る通り、それは正しく私の非そのものです。 私とした事が仕事に追われる余り、そのような至極当然の事に気付きませんでした。 見苦しき醜態をさらしてしまい申し訳ありません。 (* `・ω・´)キリッ」 「あ、いえ....分かって頂ければ、それでいいのですが....。( ゚A゚ )」 続け様に何かを言おうとする彼女。 (させるものかーー!?( ;`Д´)) 私は彼女の次なる言葉が放たれる前に、先制攻撃に打って出る。 「時にマドモアゼル、ご依頼お急ぎのものと、お見受けします。 よろしければ、お話を聞かせ願えませんか? ( ´,_ゝ`)」 「そうでした! 確かに貴方の言う通り、取り急ぎの依頼です。 出来れば早々に対応して頂きたいのですが、やはり新薬の実験も取り急ぎのようですし....直ぐという訳にはいきませんよね? ( ;´・ω・`)」 「いえ、マドモアゼル。 貴女の様子を見るに急を有する必要性があるのは明確。 此方は事情を話し、少し猶予を頂く事に致しますので、ご安心下さい。 (^∧^)」 「えっ....? でもそれでは貴方の信用がーー?( ゚□゚)」 「確かにそうかも知れません。 しかし、昔から言うではないですか。 義を見てせざるは勇無きなりと....? 何より私はエレガントな女性が困っているのを見過ごす事ができる程、冷酷な人間ではありませんので。 ( ´,_ゝ`)」 私は、そう彼女へと優しい口調で告げた。 勿論、言うまでもなく新薬の実験というのは、その場しのぎの虚言に他ならない。 しかし意外な事に怪我の功名と言うべき状況が、この虚言によってもたらされている。 それは依頼人たる彼女の恍惚とした表情を見れば明らかだった。 (なるほど...狙ってやった訳ではないのに紳士アピールに成功してるってことか、流石は私だな! (*>∇<)ノ) 私は大いなる手応えを感じつつ、彼女をソファーへと案内し、優雅にして気品ある紅茶を彼女の前へと運ぶ。 何故、貧困この上ない我が家に、このような贅沢なる嗜好品があるのかといえば理由は至ってシンプル。 こういったエレガントな来客の為に私が秘蔵していたのである。 因みに値段は3000スピナ程。 かなりの高級品であることは言うまでもない。
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