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僕は幼いころから、目指すべき将来を決めていた。
部屋の天井いっぱいに星を飾っていたんだ。
あそこを目指すよ、とね。
つまり、宇宙へ旅立つ未来を夢見ていた。
それを想像するだけで心は光速を越え、はるか彼方にある星々の大海を夢遊するんだ。
これは友達にも言ってないからね。
なぜかって? 世界でいちばん内気だからさ。
だけどね、幼いころからの宇宙への憧れは、保存料が入ってなくてもいつまでも新鮮だった。
でも神様は、人の可能性に嫉妬するらしい。
せわしなく羽ばたこうとする想像の翼は、酔っ払いが運転するトラックが潰してしまった。
「息子の未来を返して!」
聞いたこともない大声で、お母さんが怒鳴った。
ボロボロと涙を流しながら、酔っ払いの運転手につかみかかる。
お母さんのそんな姿を見るのは二度目だ。
心に絆創膏は貼れない。そこにもう手が届かないんだ。
頭から下の体が動かなくなったから。
「残念です。脳障害による全身不随です」
お医者さんの言った言葉で、お母さんが泣き崩れた。
想像してほしい。自分の身体が人形みたいになった気持ちを。
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