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三男である僕は……どうやら変わった性癖があるらしい。
悪いわけではないが、長男には何もないことを祈るしかないと言えば伝わるか。
前世の記憶はないが、こういったことに寛容だったように思う。
今でも「LGBT専用カフェを開くのが夢なんだ。私、好きな人がトランスジェンダーだから振り向いて欲しいんだよね」という最期の言葉とやらが耳に残っているから。
えるじーびーてぃーとやらは何なのか、見当がつかないけれど。
大人びていて、流行りの先端を行き、同世代の憧れ……というのは過大評価だろうか。
そこら中の店でお洒落な服を着こなす僕の姿が拝めるだろうけれどね。
そう、僕はモデルをしている。
学園に入るまでは、それでちょっとしたお小遣い稼ぎをするつもりだ。
……写真でも貼ってあるのかって?
何を言ってるんだ、この世界には、魔法があるだろう?
服屋のお洒落なマネキンに微量の魔力を流せば、そのコーデを着こなす僕が微笑みながら華麗に一回転するんだ。
あるときは床を転がるように、あるときはバク転、あるときは紳士的に。
服装に合わせて、服のポイントのアピールを忘れずに。
僕に見惚れるなんて無駄なこと、しないでおくれよ?
まあ、ファンクラブに入るって言うんだったら、今なら100番台にまだ間に合うと思うよ。
口コミだから遅いけど、一年もすれば1000番台は軽く行くだろうね。
こんな僕だけど、ステータス測定でちょっとした珍事件を起こしてしまってね。
あれは5歳のとき。
「まあ、ユーファスは将来が楽しみね。凄い数値よ」
「オーディンも凄いぞ!特に力が……うん、強いに越したことはない!少々見た目に似合わんが、ギャップがあれば良いトコのお嬢さんに見染めて貰えるぞ!!」
「ごめんなさいね、ルフィウ。貴方の方がお兄ちゃんなのに、オーディンに先を譲ってしまって。さあ、貴方のステータスを見てみましょうね?」
まあ、いわゆるフラグというやつだろう。
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