1人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
『芽吹け、己が姿を水に映せ』
「ルフィウ……？」
魔術で喚び出し現れた黒光りする影により、僕の足元に緻密で難解な魔法陣が描かれる。
見ているだけで冷や汗の出そうなほど気味の悪い物体が、うねりながら魔法陣の形を整えると、早送りのように僕の身体が成長していく。
途中、服をどうしようかと考えた瞬間に、成長を始めた僕に合わせて年相応のラフだがお洒落な服に変わった。
急に自分を越す身長の、深みのある濃い瞳と優しげな口元、穏やかで似合わない年季の入った表情を浮かべる青年が現れたことで、父も母も卒倒しかけ、側仕えのメイドとボーイが慌てて支えた。
なりたい願い通りの、魅惑的な美人が身を委ねてくれるような風貌になれたことで心が弾み、迂闊にも母を呼んでしまった。
「母上、僕は…」
「ああぁ」
しかけていた卒倒を後押ししてしまった。
「……ルフィウなのか？」
「はい。」
最初のコメントを投稿しよう！