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吹きかかる風は身体から熱をすり、思わず寒さに身を縮こめる。下に向けて吐いていた白い息を少し上にあげてみると、その端の方で空が目に入った。薄暗い雲が広がっている。耳の横をすり抜けていく風の音、その意識の隙間を縫ってくるような、足元から聞こえてくる枯れ葉のからからと乾いた音も聞こえてくる、それらすべてが暗澹たる雲と協力して心を乱してくるかのようだったが、家を出る前にその日の天候についての調べはしていたので、それほど憂鬱になることもなかった。むしろこの地域ではあまり降ること自体が少ない、そんな雪を待ち焦がれるほどだった。 その重さを感じさせない白いものには、先ほどまで感じていた不安はない。 もうすでに帰宅の路についているところで、家まで歩いて十数分というところだった。今朝がた、目を覚ました時から感じていたその痛々しいまでの冷気は、調べるよりも先にこれからの天候を教えてくれていた。昔の人は雨が降る日を感覚だけでわかったらしいが、それに近いものを感じ取っていたのだろう。手元にある携帯電話を調べれば、自分の考えを裏付けるかのような予報で、朝から少しだけ気分は高揚していた。     
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