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INFINITE LOOP
「あなた!あなた!」
懐かしい女の声で目を覚ました。
「ここはどこだ?」
周りを見渡すと見覚えのある山小屋の中のようだった。
「大丈夫?」
「あぁ…」
「じゃあ行きましょう。」
女は俺の手を引くと山小屋のドアを開けた。
ものすごい風と雪が山小屋の中に吹き込み、一瞬にして辺りは真っ暗になった。
「どこへ行くんだ?」
女は俺を振り返り、俺の手を逃がさないように強く握った。
「どんなにあなたが忘れようとしても、あなたが私を殺した事実は消えないの。」
女の胸に真っ赤なしみが広がっていく。
俺はまた絶叫し、意識を失っていく。
消えていく意識の中で、ずっとこの繰り返しだった事を少しづつ思い出していた...。
殺した人間たちが順番に俺の前に現れる。俺が忘れようとすると必ず…
俺はもう限界だった。
俺は最後の力を振り絞り、女の手を振りほどいた。
吹雪の中、目なんか役に立たないが、恐らくこの先は…
目をつむったまま、俺は真っ暗な闇を求めて飛び込んだ…。
吹雪は跡形もなく全てを消し去り、やがておだやかな月が青白い雪だけを照らし始めた。
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