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「なっ……」
さすがに驚いて
テヨンは僕のネクタイを引くと
「何を話した……?」
目を見開いて
力尽く壁に押し付けた。
「みんな言ったさ。おまえが父親にも母親にも頼らずなんとか学校を卒業しようとしてる事。寝る間も惜しんで働いて、国の弟やお祖母さんの面倒までみてる事……ビルの地下みたいなとこに住んでそれでも料理も家事もちゃんとこなして暮らしてる事……」
本来ならあんたの仕事だろって
気が付けば僕はテヨンの父親を
立場も忘れて怒鳴りつけていた。
「力抜けよ、テヨン……」
僕の喉元を締め上げるように震える手を
僕は何とか押し留めると言った。
「おまえの事は――僕が面倒みるから心配しないように言っといた」
「は……はあ?」
「その代わり韓国の弟とお祖母さんの面倒はこれからは自分がみるって――お父さん謝ってたよ」
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