第10章

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カーテンの隙間から 薄く夕日が射す。 その光は僕が掻き抱く愛しい子の髪に 黄金色の天使の輪を作る。 「……俺の面倒みるって言ったよな?」 されるがままだったテヨンが ふと顔を上げ言った。 「言ったよ」 凶暴さを秘めた野犬みたいな瞳は 同時にひどく傷ついてきた分 懸命なほど無垢に見える。 「大変だからって途中で投げ出すなよな……」 その瞳は怯えていて 悲しくて 「しないよ、そんなこと」 「どうだか。俺は――」 いつもの強さが嘘みたいに儚くて。 「テヨン?」 そっと覗きこむと 「こういうのは初めてだから……」 テヨンは不貞腐れた子供みたいに言った。 「条件なしに誰かを好きになるのも……愛されるのも……」
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