第10章

16/25
前へ
/25ページ
次へ
出来る限りその手を優しく握って ただ茫然と戸惑う瞳に告げる。 「おまえが鬱陶しいと思うぐらい、もういい加減にしてくれって言うまで大事にするよ」 本心だった。 世間的に見れば 僕は堕落した良心の欠片もないダメ教師。 男としても 年下のテヨンに助けられてばかりで情けない限りだけれど――。 「求められれば求められるだけ答える――おまえに僕の全部をやるよ」 唯一誇れるとしたら 迷いのないこの愛し方ぐらいだろう。 「それじゃあ――」 テヨンは俯いたまま 僕が握った手を見つめて言った。 「証拠を見せて」 乾いた声だった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加