第10章

18/25
前へ
/25ページ
次へ
文句を言いつつも いつもよりずっと柔和な顔をして微笑む。 「テヨン……」 スクリーン越しにしかまずお目に掛かれないような 完璧に美しい目元に思わず見惚れていると。 「おい、危ないっ……!」 「わっ……!」 ゴボゴボっと危険な音がして 噴火を起こしたように再び鍋の中身が吹き出した。 「火を弱めろよ!」 「知らないんだ。使ったことないから」 「……ったく」 テヨンが飛んできてガスのスイッチを止めると なんとか次の噴火は免れたようだった。 「で?何になるはずだった?」 鍋を覗き込み笑うテヨンに 「いや、もともと爆発させるつもりだったのさ」 僕は握っていた布巾を放り投げ 諦め半分強がってみせる。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加