第10章

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当然と言えば当然の成り行きなのかもしれない。 「君、担任でしょ?」 「ええ……はい」 言われてしまえば 返す言葉などないけれど。 「面談と家庭訪問――終わったら報告して」 とんでもなく 気まずいことになった――。 「須賀先生!返事は?」 「あ、はい、分かりました……」 諸々と告げ口したのはもちろん。 肩たたき棒片手にニヤニヤしている 執念深い学年主任に違いない。 「失礼します」 僕は努めて冷静に自分の席へ戻った。 『ネガ ノルル サランハダ――』 雨に打たれたあの日から 身体がゾクゾクして震えが止まらない。 『だからこの辺で終わらせた方がいい――』 アンニョン、先生。 あの日のテヨンの言葉を反芻する度 指先まで冷え切って僕は気を失いそうになる。
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