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生徒指導室――。
指導するべき生徒が現れるのを待つ間
僕の方がいくらも緊張していた。
やがて長身の影が入り口の磨りガラスに映り込み
気怠そうに二度三度扉をノックすると。
「――入って」
声を振り絞りやっとのことで僕は答えた。
「失礼します」
わざとらしいほど礼儀正しく挨拶し
カン・テヨンは身体を折り曲げるようにして
入り口から顔をのぞかせた。
僕はその間ずっと
今日の事は校長の命令で僕の意思ではない事
姑息な手を使っておまえを呼び出したりは断じてしていない事。
「座りなさい……」
声に出して言えない分
せめて教師らしい態度で示そうと躍起になっていた。
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