0人が本棚に入れています
本棚に追加
私は起き上がりカーテンを開けた。
すると、あれだけ降り続いた雪が止み、雲も消え大きな満月が夜空に浮かんでいた。
地面も木々も、遠くの家々までも雪に覆われ、月の光で幻想的な光景だった。
ふと窓から見下ろすと、庭に浮遊する光の玉に現われ、庭の奥に飛んで行くのが見えた。
私はその光の玉が何なのかとても気になり、しばらく開ける事のなかった病室の洋服ダンスから母が持って来てくれたセーターとコートを着こんだ。
他の患者は寝ているのか、静かでカーテンが閉められている。
起こさないように、ばれないように、私は松葉杖を手に病室から抜け出した。
廊下はほとんどの電気が消され薄暗く、非常灯がよく見えた。
看護婦さんに見つかれば、外に出る事は止められてしまうと思い、私は非常口から出る事にした。
暗い廊下は、昼間とまるで違い不気味だった。
非常階段を一段一段、松葉杖をつきながら下りるのは大変で、どうしてこんな苦労してまであの光の玉を確かめたいのは、自分でもよくわからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!