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ライブは中止
しんしんと降り積もる雪が窓から見える。小さな庭、物干し竿から時折雪の固まりがぼろっと落ちて、地面に積もった雪に加勢する。東京にこんなに雪が積もったのは随分と久しぶりだ。――と、清治は思った。
「先週に引き続き、よく降るな」
「おかげで洗濯物がろくに干せやしないわ。部屋干しじゃ、生乾きで匂うし。ご飯の匂いも移るし」
妻の静恵が毒づいた。
「そう言えば、千織はどうしたんだ?」
切干大根にポトフ。部屋干しの服に匂いがつかない、匂いの目立たない料理が並んだ夕飯に箸を運ばせながら、娘の行方を尋ねる。ライブに行ったそうだ。
「あなたからもらった小遣いで買ったチケットだそうよ」
嬉しいような寂しいような、複雑な顔をする。「そうか」と返事を返し、それっきり黙って食事を続ける。清治は、家ではあまり会話をしない質だ。
そうして、静かな食卓が終わりを告げようかというとき、家の玄関の方で声がした。
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