敗北

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「この度私は、自滅党の総裁職を辞する決断を致しました。政界からも引退いたします」 私がそう言うと、カメラのフラッシュが一斉に点灯した。 先日の選挙カーでの私の発言は失言として大々的にマスコミに取り上げられ、何度も何度も放映された。その影響もあって自滅党の獲得議席数は過半数を大きく割り込み、政権を明け渡すことに。さらには現役総理大臣の私も落選の憂き目に遭うこととなったのである。この状況では総裁職を続けることは不可能だ。 私は一通りの質疑に応答して会見を終えると、黒塗りの車に速やかに乗り込んだ。 奴らを見返す。 奴らには負けない。 このために私は走り続けてきたのだが、結果はこれだった。 ラジオから私の耳元にふと懐かしい曲が流れてきた。アリスの「チャンピオン」だ。 帰れるんだ これでただの男に 帰れるんだ これで帰れるんだ この歌詞が流れた瞬間、私の目から堰を切ったように雫が流れ落ちた。 勝って勝って勝ち続ける。目的も分からずに勝ち続ける。そんな功名心と復讐心のおもむくままの闘いを、私は本当にやりたかったのだろうか? まあいい。どちらにしろ私の闘いは、これで終わるんだ。 そこには、なぜか胸をなでおろしている私がいた。
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