第27話

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才蔵は動かない体を無理に動かそうとしたが、その瞬間、体に激痛が走る。 「おやめ下さい!貴方は自分でも気付かないほどの大怪我を負っていらしたんです!それに貴方を傷つけた武器の殆どに毒が塗られていました!まだ毒が完全に抜けきってもいません!」 必死に懇願するように菖蒲が駆け寄り止めた。 だが、ゆっくりと上体を起こすのを手伝い、傍に座る。 「…………あれから…どうなった?」 「………あの日、宵様と才蔵様が崖から落ちると、抜け忍達が下流で救出し、怪我の手当をする、という手筈でした。」 「……………っ……」 宵がそんなことを考えていたことすら、才蔵は知らなかった。……何も、知らなかったのだ。 「そしてお2人を救出した後、里へ運び、私が直々に教えていた弟子達に手当を命じていたのですが、私が暁を撒き、戻った頃、才蔵様も宵様も危険な状態でした。才蔵様は体内に入った毒と数多の傷のせいで高熱が出ていて、宵様の方は…………息をするのもままならないほど苦しそうで……お顔も青ざめていて……傷口も深く、数も多く、才蔵様以上の出血で血も足りておらず………本当に……危険な状態で………最善は…尽くしたんですが……5日経った今でもまだ……」 菖蒲は泣きそうに声を震わせた。 「……5日……経ったのか………」     
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