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私は水を流してトイレから出る。
昼休み。
昼休みである。
あの生徒、枝野由香が清十郎を夏祭りに誘うらしい昼休み。
LINEじゃないなら、どうやって誘うのだろう。
面と向ってに決まっている。
でも、人のいない場所で誘うはずだ。
私は5限目の授業の準備をする。
その時にちょうど、人気の無い中庭を横切る。
その時に偶然、誘いの場面に出くわすかも知れない。
そう、偶然。
中庭を横切る。
誰もいない。
そう言えば、先週買った本、まだ読んでないな。
そう思っていると、声が聞こえてきた。
私は物陰に身を潜めて様子を窺う。
「話って、何?」
清十郎の声だ。
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