1

22/44
前へ
/44ページ
次へ
私は水を流してトイレから出る。 昼休み。 昼休みである。 あの生徒、枝野由香が清十郎を夏祭りに誘うらしい昼休み。 LINEじゃないなら、どうやって誘うのだろう。 面と向ってに決まっている。 でも、人のいない場所で誘うはずだ。 私は5限目の授業の準備をする。 その時にちょうど、人気の無い中庭を横切る。 その時に偶然、誘いの場面に出くわすかも知れない。 そう、偶然。 中庭を横切る。 誰もいない。 そう言えば、先週買った本、まだ読んでないな。 そう思っていると、声が聞こえてきた。 私は物陰に身を潜めて様子を窺う。 「話って、何?」 清十郎の声だ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

34人が本棚に入れています
本棚に追加