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「今度の土曜日さ、夏祭りが有るんだって」 清十郎は後ろから私を抱きしめたまま、耳元で囁く。 「へ、へー。そうなんだ」 私は声が裏返らないように気を付けて返事をした。 「先生と行きたいな」 え?え?え?私? 「よ、用事は?」 「用事?」 「今度の土曜日は、用事が有るんじゃないの!?」 誘ってくれて嬉しかったのに、照れ隠しで突き放すような言い方をしてしまった。 駄目だな、私。 「土曜日の用事って、なんで知ってるの?」 しまった!! 私は隠れて聞いていたんだ!!! 「え?いや、その」 私は言い淀む。
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