33人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
祭りが始まったばかりでもあり、トイレはそれほど混雑していない。
私はトイレの個室に入り、ふと思った。
もしかすると、私がトイレに行きたそうなのを見て、清十郎はああ言ったのだろうか。
私の方が大人なんだから、しっかりしないと。
私がトイレから出ると、清十郎は浴衣を着た三人組の女性に取り囲まれていた。
大学生ぐらいだろうか?
明らかに私よりも若い。
そして私よりも綺麗だ。。。。。。
「ねぇ、お兄さんかっこいいね。和服似合ってる」
「うちらと遊ぼうよ」
「あたしらモデルやってるんだよね。だから、そこらへんの男は相手にしないけど、お兄さんかっこいいからさ、どう?」
モデルなんだ、確かに、スタイルも良い。地味じゃないけど、派手すぎない。
「俺、高校生だから、あんた達よりも年下だよ」
清十郎、俺って言うんだ。なんだか冷たい感じがする。
「えー?高校生なんだ、見えなーい」
「うんうん、同じ大学の男よりもずっと良いよ」
「あたし年下でもOKだよ」
もう!清十郎が困ってるの分からないの!?
「俺、彼女と来てるから」
彼女!私の事か!?清十郎は私と夏祭りに来たんだから、私の事だ。
私の事、彼女だと思ってたんだ!
「えー?絶対うちらの方がその子よりもイケてるって」
「比べてみてよ、その子と」
「あたしらの方が勝ってたら、あたしらと回ろ」
何それ?カツアゲじゃん。
「で、その子、どこにいるの?」
清十郎はトイレの方を見る。
見つかった。
「えー?あの子?」
「あの子って言うか」
「おばさん(笑)」
女子大生モデル達は私を見て嘲笑する。
最初のコメントを投稿しよう!