01.あの、夏の日

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「つまり、あーちゃんは毎日こつこつと宿題をやっていると!」 言ってからあれ?と首をかしげる。 そんなところ見たこと無いぞ、と。 イトコの疑問を解消すべく、ふ、と笑みを浮かべて答えた。 「宿題持ってくるの忘れたから 夏休み最終日に家に帰って泣きながら仕上げます」 「返せ。感動とあーちゃんへの尊敬の念を返せ。」 二日で仕上げると言ってるイトコよりタチ悪いよな。俺。 ――あの、夏の日。 小六の俺と小五のイトコ。 将来の事なんか微塵も考えずに、 ただ今を楽しく生きようとしていたそんな頃。 「ところで、お前自由研究とか何するつもり?」 「んー、あさがおの観察絵日記ー」 してねえじゃん。観察。
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