02.伸ばされた手のぬくもりが

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三十九度の蕩けそうな日に。 祭にはしゃぐ馬鹿が二人。 「……なんだフォアグラ焼きって」 町を広々と使った祭は人でごったがえしていた。 当然夜店も多種多様。だから一つくらい珍しい店が出ていても 不思議はない、のだけど。 「……うん、やっぱりおかしいよね。フォアグラ焼き。  夜店で売るもんじゃないよね。  ていうか絶妙に高いよね。一串二千円て夜店の値段じゃないよね」 「ふぁーふぁーふぇっふぉふぉふぉー」 隣でイカを口いっぱいに頬張らせているのは、イトコ。一つ年下の小五。 何か言おうとしているのはわかるのだが。 「ふぇふぉ(もごもご)ふぁふぇふぁ(もごもご)ふぉふふぁ(もごもご)」 何言ってるかわかんねえ。 「……喋るか食べるかどちらかにしてくれ」 「ふぉ」 ちょっと考え。 「ふぁふぇふぁふぁふぁふぃふぉふぃふぇふぉ」 「そこは食べろよ!」 咀嚼やめても口に入ってるなら意味ねえ。そもそもいつの間に買った。それ。
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