世界から戦争が消えた日

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「じゃん」  彼女が俺の前に持ってきたのは……メイド服姿の幼女だった。 「うちに子供はいなかったと記憶しているが」 「ふふ、私も生んだ記憶ないよ」 「誘拐?」 「違います。いいから聞け」 「話せ」  えへん、と愛華は咳払い。 「四次元メイド幼女型ロボットのアビスちゃんです」 「よじげんめいどようじょがたろぼっと?」  ふむ。語呂が悪い。 「何それ」 「我が家で活躍してくれる予定のお世話ロボットよ」 「何ができるの?」 「掃除、洗濯、炊事、買い物。後、マッサージもできるし、体も洗ってくれるよ。万能型です。ただし、夜の相手はダメだけど」  希望しねーよ。  怖いこと言うんじゃない。 「例の青狸をさ、ヒントにしてみたの」 「どこが?」  丸くないし青くない。 「四次元のあたり」 「ふむ?」 「昨日、オメガの腕時計を分解して、メトロノームに作り替えてるときに思いついたのね」  ぱーんち。 「ぐへぇ。肝臓のあたりに拳がぁぁ」  説明ご苦労。 「け、ケンカはダメですよぉ」  アビスちゃんが慌てているじゃないか。  俺に拳を震わせるんじゃないよ。 「俺の時計をメトロノームにするんじゃない。うちに何個のメトロノームがあって、いくつの時計が犠牲になったと思っているんだ」 「ずびばぜん」 「よろしい。話の続きをどうぞ」  オロオロしているアビスちゃんの頭を撫でてやりつつ、俺は続きを促した。
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