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「そして、これが実験の結果です」
そう言って彼女が取り出したのは、一枚のトースト……に見えたけどなんか動いてる。
「トーストとザリガニを放り込んだ後、尻から出して貰った結果よ」
「何が起きた?」
「どうやら、四次元内では物質の形が安定しないみたいなのね」
嫌な予感。
「必ずこうなるってわけじゃないんだろうけれど……」
「けれど?」
「融合しちゃうこともあるみたい。てへっ」
テヘペロ決め込んでるけど、それで済む話じゃないだろう?
「で、これ何?」
「トーストに擬態できるザリガニよ。トースティークレイフィッシュって感じかしら」
「生き物を弄ぶんじゃない」
ぱーんち。
「尊い犠牲だわ」
当てたはずの拳に感触が無い。
くっ、残像か……。
「あ……あの……」
どうしたアビスちゃん。
「私の事でケンカしちゃ嫌ですぅ」
じわぁっと彼女の双眸に涙。
「あ、ダメよアビスちゃん。ただでさえ不安定なんだから」
慌ててアビスちゃんに駆け寄り、頭を撫で始める愛華さん。
ふ、所詮貴様も人の子か。
隙ありぃ!!
「あうちっ!! 横っ面に拳がぁぁぁ」
説明ご苦労。
勝利の後はいつも虚しい。
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