第1章

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 閉め切った窓から、 まるでクジャクの羽根のように美しいストレートヘヤーを、 腰まで垂らしている女性が、 後ろ姿だけを部屋に入れてきた。 すると突然、 生ゴミに似た腐臭が、 彼の周囲にネットリと漂ってきたのだ。 口の中には、 錆びた鉄の味が忍び込み、 ぺ、 ぺ、 ぺ、 ぺ……と何度もツバを吐き出したが、 そのむせるような複雑で奇妙な味は、 口の中に残ったままだ。  でも、 Hな期待で、 彼の心臓はバク、 バク、 バク、 バク……して、 今にも破裂しそうだった。 女性に興味を持っている点では、 世の男性に劣らない。 いや、 むしろ、 性欲では異常な部類の男性に属するだろう。
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